BARATEE

タラとナマケモノと私

サザエさん症候群という言葉は、すでに市民権を得たのだろうか。

2月某日。
日曜の夕方にテレビを点けることが少ないので、目にする機会があまりないのだが、
その日はたまたま、点けっぱなしになっていたテレビから、国民的アニメのオープニングメロディーが流れてきた。

ふと目をやると、
冒頭のシーンから、タラちゃん、サザエさん、マスオさんが動物園を歩いている。

「あの背景……。人止め柵とケージの並び方が上野っぽい…」

もうこの時点で、テレビの前に移動せざるをえない。
部屋を明るくし、画面から離れ、清く正しいテレビ鑑賞のはじまりである。

タラ「なんていうお名前ですかぁ」
サザエ「ナマケモノよ」
タラ「ほんとのお名前は?」
マス「ほんとの名前もナマケモノなんだよ」
タラ「かわいそうですぅ」

ナマケモノ。すばらしい題材じゃないか。(南米動物は大好物だ!)
そう思ったのも束の間、すぐに本編とは関係のないところが気になってくる。

「背景が屋外だな…屋外でナマケモノを展示しているといったら…モデルは埼玉県こども動物自然公園か…?」
「ふむ。あの顔の模様、指の数、ちゃんと日本で飼育されているフタユビナマケモノだ。さすが国民的アニメ」

などと感心している間にも場面は変わり、茶の間の団欒風景だ。
家族一同に「わははははは」と笑われ、ますます憤慨するタラオ氏。

「おかしくないですぅ!」

「1日15時間以上も眠っているんですって」やら、
「(ナマケモノという和名を)名付けたのは偉い学者の先生じゃないか」やら、
この回、いつになく説明的なセリフまわしである。

挙句、あのカツオくんが「英語では違う名前かもよ」とまで言い出すではないか。
もう、ストーリーよりも、このサザエさんらしからぬ流れのほうが面白い。
ゾウも英語でエレファントだもんね、と、さっそく辞書を引くものの、

マス「えーと、“Sloth(スロース)”……意味は…やっぱり『怠け者』だって」
カツオ「世界的に『怠け者』って呼ばれてるみたいだね」
タラ「ひどいですぅ〜!!」

タラちゃん激おこ。プリップリ。
たらこか。たらこなのか。

ほかほかのご飯に乗っているように見えなくもない

ただ、動物の種名なんてそんなもんなのだ。
尾に輪っか状の模様があるキツネザルは「ワ・オ・キツネザル」だし、
クチバシが広いコウノトリのなかまは「ハシ・ビロ・コウ」なのである。
口の幅が広い(wide)サイに至っては、白い(white)と聞き間違えられて「シロサイ」と名付けられたり、そのとばっちりで「クロサイ」なんて名付けられたりするのである。
ひどいですぅ!!と、怒ってやりたくなる気持ちもわかる。

その後、再び動物園へ行き、飼育係のお姉さんから
「この子には『ペレ』って名前がついてるのよ」と教えられたタラちゃん。
「よかったですぅ」と喜んだところで話は終わりに向かうのだが…

…何か引っかかる。
ペレ…? どこかで聞いたような…。

そうだ。
以前訪れたエクアドル(スペイン語)では、
ナマケモノのことを「Perezoso(ペレソソ)」と呼んでいた。
もしこれが、ナマケモノの故郷、南米の言葉に因んだものだとしたら…
…それもやっぱり「怠け者」という意味だ。

タラオーーー!
騙されるなーーーーー!!!!

きっと、脚本家の「わかる人にだけわかればいい」という隠れオチなのでしょう。
そういうことにしておきましょう。
(単に深読みのしすぎという説も)

ナマケモノを見ていると、心底しあわせな気持ちになる(@神戸どうぶつ王国)

嗚呼、動物園散歩人にもなると、
日曜日の感傷に浸ることさえできやしない。

=== 記事内で紹介した動物園 ===
・上野動物園
http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/

・埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東村山市)
http://www.parks.or.jp/sczoo/

・神戸どうぶつ王国
https://www.kobe-oukoku.com/

そのほか、日本でナマケモノを飼育している園館
日本動物園水族館協会(JAZA)HPのデータベース

※ちなみにこれは、2017年2月12日に放送された『タラちゃんとナマケモノ』という回でした。
セリフ全てをメモしていたわけではないので、言い回しは若干異なっていると思います。
この話でツッコミ疲れて、後半パートで何の話をやってたか、まったく覚えていません。

【写真(3枚目):フタユビナマケモノ】
神戸どうぶつ王国では、間近でナマケモノを観察できる。嫌なことがあったらナマケモノを見にいくといいだろう。
(Photo by Takushi Yokoyama)

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